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【農村研修体験記】〜さとうきび受託組合での研修報告について〜

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最終更新日:2020年1月8日

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 alicでは毎年度人材育成の一環として、生産現場での仕事などを通じて農畜産業の生きた知識を得るため若手職員を生産者のもとに派遣する農村派遣研修を実施しています。昨年2月に鹿児島県のさとうきび受託組合で研修させていただいた合屋祐里(ごうやゆり)の研修報告書の一部を紹介します。
 
研修期間:平成31年2月25日〜3月2日
研修場所:鹿児島県奄美(あまみ)市 農事組合法人奄美市さとうきび受託組合
 

研修先の概要

 奄美市さとうきび受託組合は、行政、農業協同組合、製糖会社などの出資によって設立され、その後法人化されたさとうきびの基幹作業の受託組織である。
 受託する主な作業は耕起・整地及び収穫で、一部防除作業も請け負っている。同組合は、立地条件や作業効率の悪いほ場であっても、可能な限り受託するようにしており、奄美市のさとうきび生産における頼みの綱のような役割を果たしている。また、生産者などから借り受けたほ場を使って、自らさとうきびの生産も行っている。
 6日間の研修中は曇雨天の日が続き、ほ場が機械作業に適した状態でないことが多く、農業が天候に左右されることを身をもって知るよい経験となった。
 

研修内容

(1)ほ場での体験
 さとうきびの手刈り、苗取り、防除、苗の植え付けなどを体験させていただいた。最近のさとうきび収穫では機械刈りが主流となったが、苗取りのほ場や一部生産者のほ場では今なお手刈りが行われている。手刈りは、収穫期を迎えたさとうきびを鎌で根元から刈り取り、専用の二股に分かれた鎌(かま)を使って、その梢頭(しょうとう)部とハカマ(製糖時に不要な葉など)を除去する作業を行った。その後、茎だけとなったさとうきびを束にして結ぶ方法を教えていただいたが、一見しただけではなかなか覚えられず、かつ指先の力を要するものであった。また、一本では軽々と持ち上げられる茎も、束にして担ぐとかなりの重量であり、凹凸のあるほ場内を数往復するだけで肩に痛みを感じた。
 苗取りは、刈り取って梢頭部とハカマを除去した後のさとうきびの中から、翌年産の苗に適した部分(芽)のみをカットする作業である。さとうきびの芽(写真1)見たのは初めてだったため、わずか1cm弱の芽が3mもの植物に生長することが不思議に感じられるとともに、良い芽を選べば、その後の収量に影響することから、同作業の重要性を学ぶことができた。
 

熱帯種

(2)富国製糖株式会社工場見学
 富国製糖株式会社の分蜜糖工場及び含蜜糖工場を見学させていただいた(写真2)。工場の機械はさとうきびの搾りカスを燃焼させて動かしており、ボイラーから生じる灰や圧搾汁をろ過した後の泥は、堆肥原料として有効活用されている。また、工場で除去されたさとうきびのハカマは、堆肥原料や野菜農家の生産資材として使われ、梢頭部は畜産農家にエサとして買い取られ、さらに、限界まで原料糖を取り出した後の糖蜜は、家畜の飼料添加物として出荷されている。工場では何ひとつ無駄にならず、製糖工場が資源循環型の産業の優良事例だと言われる理由がよく理解できた。
 
 

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まとめ

 今回の研修で学んだことは、次の2点である。
 1点目は、島のさとうきび産業が抱える課題の大きさだ。同島は群島内で高年齢層の生産者の割合が最も高く、10a当たりの収量は低い傾向にある。
 また、同組合の雇用確保についても、年々厳しさを増している。
 省力化技術の導入などによって、こうした課題の解決に一定程度の効果は見込めるだろうが、実際に体験・見学した中では、手先の細かい作業や臨機応変な対応などが必要なことも多く、一朝一夕には解決できないように感じた。
 2点目は、機構の役割についてである。研修期間中に多くの方々から、砂糖の価格調整制度について聞かれる場面があったため、生産地と離れた大消費地だけでなく、島民が集まる地元のイベントなどでも機構が砂糖のPRなどを行っていくことで、生産者・消費者という枠組みを超えて、より効果的に島におけるさとうきびの重要性や機構の役割を伝えていけるのではないかと感じた。
 
 最後に、ご多用にもかかわらず、今回の研修を快く受け入れてくださった奄美市さとうきび受託組合の皆様をはじめ、お世話になった多くの方々に、この場を借りて深く感謝申し上げます。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196