【レポート】世界有数の砂糖生産国インドの生産動向
最終更新日:2020年11月4日
インドという国名からお砂糖を連想する方は少ないかもしれませんが、実は、インドは世界有数の砂糖の生産国で、ブラジルに次ぐ世界第2位の生産量を誇ります。またインドは砂糖の消費量も多く、国内産砂糖のほとんどは国内で消費されています。しかし、砂糖生産は、原料であるサトウキビ栽培が天候などの影響を受けることで、年により大きく変動します。国内産で需要を満たせない年は、海外からの輸入を増やすことで対応する一方、生産量が多い年は海外への輸出が増え、世界全体の砂糖需給に影響を与えることとなります。
今回は、このように世界の砂糖需給に影響力があるインドにおける砂糖の生産動向についてご紹介します。
サトウキビの栽培
サトウキビの栽培地域は、熱帯地域と亜熱帯地域に分けられ、後者の北部に位置するウッタル・プラデーシュ州が国内最大の生産地となっています(図1)。サトウキビ農家数は全国で約5000万戸とされており、ほ場の広さが1ha以下の小規模農家が大半を占めています。農業の機械化はあまり進んでおらず、収穫も主に手作業で行われています。サトウキビの大半は砂糖の製造に仕向けられますが、黒糖のようなミネラルなどを豊富に含む砂糖(グル/ジャガリー)やサトウキビジュースにも使用されています。
精製糖より糖度の低い白糖の生産が主流
インドの製糖工場は全国に742工場存在し、年間約3430万tの製造能力を有しています(注)。製造される砂糖には、大きく分けて3種類(糖度が高い順に精製糖、白糖、粗糖)がありますが、最も生産量が多いのは白糖です。
白糖には、粒の大きさが4種類(SS・S・M・L)あり、Lサイズになると3mm程度のかなり大きな結晶になります。サイズにより用途は異なり、SSサイズは主に製薬用として、その他のサイズは主に食品メーカーや家庭消費向けに販売されています。
(注)2019年8月末時点。
砂糖の生産量は天候により大きく変動
近年の生産動向を見ると、2016/17年度(10月〜翌9月)は雨季の降雨が少なく、マハラシュトラ州で減産となったことが影響し、砂糖の生産量(製品ベース、以下同じ)は2029万t(前年度比19・3%減)となりました(図2)。しかし、翌年度は天候に恵まれ3248万t(同60・1%増)と大幅に増加し、2018/19年度は過去最多となる3316万t(同2・1%増)と、ブラジルを抜いて砂糖生産量が世界第1位となりました。翌2019/20年度は一転して主産地で豪雨による浸水被害が発生し、同20・1%減の2650万tと世界第2位に後退する見込みです。
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