【第一線から】“土を育み笑顔とご縁を育てる”こまつな農家を目指して〜広島市の今津壮生さん〜
最終更新日:2021年6月2日
今津さんとこまつな圃場
一念発起して脱サラ就農を決意!
こまつな農家の今津さん
今回は、広島市でこまつな農家を営む今津農園の今津壮生(いまづまさお)さんを紹介します。
今津さんは、約11年間、地元の製造メーカーに勤めていましたが、そこでモノづくりの楽しさを学び、自然の力を使う農業に挑戦したいと一念発起し、脱サラ就農することを決意しました。とはいえ、農業を始めるには、農地の確保や、経営資金の準備、栽培技術の習得など多くの課題があります。そこで、今津さんは、広島市の「ひろしま活力農業経営者育成事業」を活用しました。同事業では、公益財団法人広島市農林水産振興センター(以下「センター」という)が、職業として農業を始める人のために約2年間の研修期間(センター1年、実地8か月)に、栽培技術などの指導のほか、収穫後の出荷・販売方法、経営管理、農地や空き家の斡旋、ビニールハウスのリースなど、営農に関する基礎から就農まで手厚く支援しています。実は今津さんは、最初の研修生選考の面接で惜しくも不合格になってしまいました。しかし、そのときの面接官の一人が今津さんのやる気を見抜き、自身の農場に「明日から来る気はあるか」と声をかけてくれたため、1年間その大規模農家で修業して再度応募し、合格することができたそうです。
栄養価が高く取り組みやすい“こまつな”の生産を開始!
広島市近郊で多く生産される葉物野菜の一つで、ビタミン、ミネラルなど栄養価が高い“こまつな”。新規就農者でも取り組みやすいこともあり、今津さんは“こまつな”を選び、センターの研修で就農準備を行うとともに、広島市農業協同組合(以下「広島市農協」という)からも支援を受けて、ビニールハウスを整備しました。就農当初は、雑草と病虫害に悩まされましたが、土づくり”に力をいれることで乗り越えたそうです。土壌改良や地力を上げるため、堆肥を中心に、くん炭(注1)、鉱物、微生物といった各種資材を投入して有機質に富んだ“土づくり”をし、土壌診断結果に基づいて適正な施肥と防除を行っています。丹念な“土づくり”によって安全・安心で美味しい“こまつな”をつくることができるようになりました。
このように、天候に左右されにくい安全・安心な野菜づくりのためには、土を育てること”に手間を惜しまないことが最も大切です。さらに、センターで同じ研修を受けた先輩方が実践する対処方法などの情報もこまつな”を生産する上で、参考になりました。2年間の研修で得られた先輩方や仲間とのつながりは、営農する上で大きな財産になっていると今津さんは語ります。
こまつな”は、全国的な生産量は少ないですが、広島の市場での流通量は、直近10年間で約2倍と大幅に増加しています。このうち、広島市内産のシェアが8割を占め、令和2年2月からは近畿圏の市場にも出荷されています。今津さんが出荷する広島市農協では、機構の特定野菜価格安定事業(注2)を利用することで、こまつな”の天候などによる価格低落リスクに備えています。
(注1)くん炭とは、用土に混ぜて植物の育成に利用される土壌の改良材。
(注2)特定野菜価格安定事業とは、野菜価格の安定を目的として、各都道府県の野菜価格安定法人が、生産者、都道府県及び国が積み立てた資金を財源に、販売した野菜の価格が基準の価格を下回った場合、その差額の一部を補てんする事業。
“土を育み笑顔とご縁を育てる”農業経営者を目指して!
今津さんは、今年で“こまつな”の生産を始めて4年目になります。約31アール10棟のビニールハウスで丹精込めて育てた“こまつな”を、広島市農協を通じて地元の消費者に届けています。労働力は、今津さんとパート4名(週に3回2名、月に3回2名雇用)です。土を育み、笑顔とご縁を育てる”をモットーに、地域に根ざして愛される農業経営者を目指しています。今後は、他品目にも挑戦しながら常時雇用を増やし、経営規模を拡大したい。そして、若者や後輩達に“農業はやりがいがあって楽しい職業”であることを伝えていきたいそうです。
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農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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