【第一線から】地域に根差したブランド野菜「国府(こくふ)白菜」
〜豊かな大地で育む農畜産物・人・地域 JAはぐくみの取り組み〜
最終更新日:2021年12月1日
群馬県高崎市西部の標高100〜1600mに位置するはぐくみ農業協同組合(以下、「JAはぐくみ」という。)管内では、榛名山(はるなさん)の噴火による火山灰の堆積でできた肥沃な土地で、はくさいやトマトなどの野菜のほか、梅をはじめとする果実の栽培や畜産業などが営まれています。
中でも標高100〜150mに位置する国府(こくふ)地区(現高崎市引間町付近)で栽培されるはくさいは、「国府白菜」と呼ばれ、ブランド野菜として根強い人気を誇っています。
今回は、この「国府白菜」と生産者で国府園芸組合副部長を務める依田敏彦さん、そしてJAはぐくみの取り組みをご紹介します。
黄色の帯に朱書きで「國府」が目印の「国府白菜」
豊かな大地が育んだ肉厚で甘くてやわらかい「国府白菜」
JAはぐくみは、5つのJA(注)の合併により、平成9年に誕生しました。管内の“旧榛名町”、“旧群馬町”、“旧倉渕村”、“旧箕郷町”からそれぞれの頭文字をとり、農畜産物・人・地域を“育てる”という意味を込めて公募により“はぐくみ”と名付けられました。
(注)榛名町農協、群馬町農協、群馬町国府農協、倉渕村農協、群馬箕郷町農協
「国府白菜」は、品種名ではなく、国府地区で栽培されるはくさいの総称です。肉厚でやわらかく、糖度が高いのが特徴で、キムチや浅漬け、鍋などの食材として、主に地元高崎市や前橋市のスーパーや地場産野菜コーナーなどで販売されています。
主な栽培品種は、黄ごころ、勝黄、黄望峰で、収穫量が多くなるのは、11月〜翌3月です。
生産者の依田敏彦さんは、「他産地では同じ品種でも同じような食味や甘さが得られないからこそ、この土地で栽培した白菜が『国府白菜』のブランドとなるのです。『嫁をもらうなら“こくふ”』という言葉が残るほど、この地区の人々は働き者で、野菜づくりも子育てと同じように野菜の気持ちになって栽培しています。この気持ちを大事にこれからも生産を続けられるよう努力していきます。」と話します。
生産者の依田敏彦さん
消費者・市場のニーズに対応した生産、流通
「国府白菜」は、明治39年に前橋市の種苗店が中国の種子を導入して栽培したのが始まりといわれています。昭和初期から本格的に栽培されるようになり、その品質と美味しさが各市場で評価されるようになると、生産農家が増え作付面積は拡大していきました。しかし、昭和53年の作付面積40ha、生産農家約200軒をピークに、生産者の高齢化や都市化の流れとともに徐々に減少しています。
そのような状況下でも消費者や市場のニーズに対応するため、種をまく際の株間を狭め、小振りのサイズに仕上がるよう栽培するとともに、県内に限らず首都圏のスーパーを中心に流通を増やすため、輸送効率や利便性を考慮して出荷するなどの取り組みが行われています。
「国府白菜をつくろう」〜農業体験を通じて食と農業の大切さを育む〜
JAはぐくみでは毎年、地元の小学生を対象に総合学習「国府白菜をつくろう」を実施しています。20年以上続くこの取り組みは、JAはぐくみ職員や生産者が講師となり、小学校の農園を利用して子どもたちに「国府白菜」を栽培する農業体験を指導するものです。9月上旬の種まきや苗の植え付けから12月上旬までの収穫作業と、幅広い作業を体験する中で、生産者との交流を通して、子どもたちに食と農業の大切さや地域農業への理解を促し、感謝の気持ちを育むことを目的としています。収穫の際には、「大きい、美味しそう、早く食べたい」といった子どもたちの歓声が上がります。
収穫体験に励む子どもたち
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農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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