世界各国の食肉代替食品の消費動向
〜世界8か国の消費者アンケート調査の結果から〜
最終更新日:2021年12月1日
世界各国で消費者ニーズが多様化する昨今、持続可能性や健康意識、アニマルウェルフェアなどに対する消費者の関心の高まりなどから、食肉代替食品(代替肉)が注目されています。中でも大豆などを原料とする植物由来の食肉代替食品は、特にここ数年間で各社が続々と取り扱いを開始しています。
そこで今回は、世界8カ国(日本、アメリカ、中国、ドイツ、インドネシア、タイ、ブラジル、オーストラリア)の一般消費者(有効回答数:7789件)を対象に、alicが2021年1〜3月に実施した、植物由来の食肉代替食品に関するインターネットアンケート調査の結果を紹介します。
食肉と食肉代替食品の消費習慣
近年、ベジタリアンやヴィーガン(完全菜食主義者)が注目されていますが、食肉(牛肉、豚肉、鶏肉)を食べる層の割合は8カ国全体で66%となった一方、食肉を全く食べない層は7%となりました。食肉を全く食べない層は、若年層や都市部、単身世帯、食へのこだわりが少ない層で多い傾向があり、国別ではドイツが13%と最も多く、次いでアメリカが11%、日本は9%となりました。
食肉代替食品を食べる頻度を見ると、月に1回以上食べる層の割合は8カ国全体で24%となった一方、食べたことがない層は31%となっています。国別では、中国やタイが高い一方、日本やオーストラリアは低い傾向にあります。
食の志向性を見ると、食肉代替食品を月に1回以上食べる層は、食肉を全く食べない層と異なり、食へのこだわりが比較的強い傾向があります(図1)。
また、食肉代替食品の支持層は、食肉消費に対して否定的ではない消費者や、フレキシタリアン(注)など柔軟性のある消費者の割合が比較的高いとみられます。
(注)フレキシブル=柔軟性、ベジタリアン=菜食主義者の二つを組み合わせた造語で、通常の食生活を送るが、たまにベジタリアンになるという柔軟な食生活を送る人のこと。
食肉代替食品を食べる理由
食肉代替食品を食べる理由として、多くの国で「おいしいから」、「健康・ダイエットに良さそうだから」の割合が高い傾向があります(図2)。また、「環境の持続可能性に配慮したものだと思うから」はブラジルやドイツでの割合が高く、「家畜・家きんにとっていいことだと思うから」はドイツやオーストラリアでの割合が高くなりました。一方、日本については「環境の持続可能性に配慮したものだと思うから」、「家畜・家きんにとっていいことだと思うから」ともに8カ国の中で最も低い割合となりました。
今後の食べる頻度の意向
今後、食肉代替食品を食べる頻度を増やしたい層の割合は8カ国全体で19%となり、多くの国で減らしたい層を上回っています。国別ではインドネシアが最も高い一方、日本は8%と最も低く、かつ「変わらないと思う」が63%と最も多い結果となり、今後の消費拡大には消極的な一面も見られました。
食肉代替食品は、味や食感などの課題もありますが、持続可能性や健康意識、アニマルウェルフェアなどに対する消費者の関心が高まる中、今後も関心の高い分野になると予想されます。しかしながら、市場規模はまだ小さく、今後、食肉消費に大きな影響を与えることになるのか、動向が注目されます。
本調査結果の詳細については、以下のURLからご覧ください。
畜産の情報 2021年6月号「各国における食肉代替食品の消費動向」
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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