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【alicセミナー】各国の食肉代替食品の消費動向

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最終更新日:2022年5月6日

 alicでは、業務を通じて得られた情報や、これらに関連するさまざまな情報を広く国民の方々に知っていただけるよう社会的発信の充実に取り組んでおり、その一環として「alicセミナー」を開催しています。
 令和4年3月10日(木)に「各国の食肉代替食品の消費動向」を調査情報部(当時)の河村侑紀から報告しましたので、その概要を紹介します(オンライン開催)。

食肉代替食品とは

 食肉代替食品とはその名のとおり、食肉の代わりに食べられている食品のことで、原料の違いなどによっていくつかの種類に分かれます。以前は、伝統的な植物由来の食品がほとんどでしたが、ここ数年は、お肉の風味や食感を模倣した食品が急増しました。こうしたことを背景に、食肉代替食品の販売額は近年、世界的に増加傾向にあり、2020年には200億米ドル(2兆4678億円(注1))を超えています。

(注1) 為替レートは、1 米ドル=123.39 円(三菱UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2022 年3月末TTS 相場)を使用。

PBMを食べる頻度は国によって異なる

食肉代替食品(代替肉) (1)植物由来(PMB、植物肉) (2)培養肉 (3)昆虫由来

 alicでは、2021年1〜3月にかけて、日本を含む8か国を対象としたインターネットアンケートにより、食肉代替食品のうち原料が植物由来のものである“PBM”(注2)に焦点をあててその消費動向を調査しました。
 その結果、過去1年間に、月1回以上の頻度でPBMを食べる人の割合は国によって異なることが分かりました(図1)。
 オーストラリアや日本は、他国と比べると月1回以上PBMを食べている人の割合が少なく、PBMの消費についてやや消極的であることがうかがえます。インドネシアでは、テンペと呼ばれる伝統的な大豆発酵食品が食肉代替食品と位置付けられていることから、その他のPBMの割合が18%と高くなっていると考えられます。

(注2)Plant-based meat の頭文字をとった言葉

図1 過去1年間のPBM を食べる頻度

PBMを食べる理由と今後の消費意向

 次に、PBMを食べる理由を見ると、「美味しいから」、「健康・ダイエットに良さそうだから」という回答の割合が高い傾向にあり、多くの国で、PBMは健康食品の一つとして考えられていることが分かりました。
 また、今後のPBMを食べる頻度の意向については、「増やしたい」、「やや増やしたい」の割合を合わせると、インドネシアが72%と最も高く、他国に比べて健康志向が高いことがうかがえます。
 さらに、PBMを食べる頻度を「増やしたい」と回答した人の割合は、食肉消費の有無や性別による差は小さいことから、PBMは完全菜食主義者や準菜食主義者以外の層からも一定の支持があることが分かりました(図2)。

図2 今後のPBM を食べる頻度の意向(属性別)
図2 今後のPBM を食べる頻度の意向(属性別)

今後のPBMに期待すること

 今後のPBMについては、「味の向上・改善」や「値下げや低価格商品の拡充」を期待する割合が高い傾向にあります(図3)。なお、健康志向が高いインドネシアでは、「栄養面などにこだわった高付加価値商品の拡充」と回答した割合が35%と、全回答中で最も高くなりました。

図3 今後のPBM に期待すること

図3 今後のPBM に期待すること(凡例)

 セミナーの参加者からは、「各国の食肉代替食品消費について理解が深まった。」「PBMの最新の世界動向は非常に貴重な情報だった。」といった感想が寄せられました。alicでは今後も、皆様のご意見を踏まえ、情報提供に取り組んでまいります。

インドネシアの大豆発酵食品テンペ・さまざまな食肉代替食品(2022 年3 月ブラジルで撮影)

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196