ここ数年、報道などで「豚熱」という言葉を耳にされた方も多いかと思います。
豚熱は、豚熱ウイルスにより起こる豚やいのししの熱性伝染病で、強い伝染力と高い致死率が特徴です。感染豚は唾液、涙、ふん尿中にウイルスを排せつし、感染豚や汚染物品などとの接触などにより感染が拡大します。治療法は無く、発生した場合の家畜業界への影響が甚大であることなどの理由から、家畜伝染病予防法に基づき、感染を発見次第、直ちに通報することや殺処分することなどが義務づけられています。
わが国で豚熱は、平成4年以降しばらくの間、発生していませんでしたが、平成30年9月に26年ぶりに発生して以降、現在も飼養豚や野生いのししにおいて感染が確認されています。
この病気について皆さまに二つお願いがあります。一つ目は、これまで通り安心して豚肉や豚肉製品をお召し上がりいただきたいということです。豚熱は、豚、いのししの病気であり、人に感染することはありません。また、豚肉の摂取により、豚熱が人に感染することは世界的に報告されていませんし、と畜場における検査体制が整えられていますので豚熱にかかった豚の肉が市場に出回ることもありません。
二つ目は、登山やキャンプなど山林内での活動時に少しだけ豚熱のことを気にかけていただきたいということです。豚熱のウイルスは、例えば靴に付着した土などから人的な要因で運ばれる可能性があります。また、接触機会を減らすため、キャンプなどでの飲食物などのゴミによって野生いのししを誘引しないようにすることも重要です。
豚熱への感染は、養豚業に大きな被害を与えます。登山時に土が付着した靴を洗浄することやゴミを放置しないなど、わずかなひと手間で感染拡大防止につながることが多くありますので、ぜひご協力ください。
(参考)
農林水産省「豚熱(CSF)について」