東南アジアの国々の中では、酪農の盛んな国に分類されるタイとインドネシアでは、耐暑性に優れた品種にホルスタインを掛け合わせた乳牛などを独自に改良していますが、両国の乳牛とも1頭当たりの搾乳量は低く、生産性は高くありません。このため、国内需要の不足分は、輸入でまかなっており、生乳換算でタイでは国内生産量の1・2倍、インドネシアでは2・5倍の量を脱脂粉乳、ホエイ、全粉乳などの形で輸入しています(2013年FAOSTAT)。
一方で、経済発展とともに、ヨーグルトやアイスクリーム、チーズなどの乳製品の消費が増加しています。タイでは大手乳業メーカーを中心に飲むタイプのヨーグルトが製造されています。最近は、健康志向から低脂肪やカルシウム強化など、機能性を高めた商品も流通するようになりました。また、インドネシアでは、1人当たりの消費量は少ないものの、ジャカルタを中心にピザやパンの普及とともにチーズの消費量も増えており、近年日系企業が地元企業との合弁でプロセスチーズ工場を建設しました。
両国とも酪農振興政策をとってはいますが、まだまだ生乳の生産基盤は脆弱なため、急速な生産拡大は困難と考えられ、今後も輸入品に対する需要が見込まれます。中でも例えば、インドネシアでは中間層をターゲットにした国内産チルド牛乳の2倍の価格のオーストラリア産生乳のみを用いたチルド牛乳が販売され売行きが好調であるといった高価格帯の需要も存在するなど、日本製品が輸出できる可能性も考えられます。
当日の詳しい資料はこちらに掲載してありますのでご覧ください。
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https://www.alic.go.jp/koho/kikaku03_000421.html