EUの主要畜産国では、GI制度で保護された食肉は、いずれも一般の食肉より高値で取引され、生産者の収益向上に貢献しています。GI制度には、原産地の伝統や文化、地理に深く根付いた製品を保護し、地域社会に文化的・経済的な価値を創出し、かつ消費者に信頼できる情報を伝達できるといった利点もあります。また、場合によっては行政や関係団体の支援を受けやすくなっています。
EUのGI制度には、日本の農林水産物・食品を登録することもできますが、その場合、日本の地理的表示保護制度に登録されていることが条件になります。このため、EUへ輸出する農林水産物・食品の呼称をEU域内で保護するためには、まずは日本の同制度に登録する必要があります。
GI制度は、国内よりも海外のマーケットを視野に入れた時に、その効果がいっそう発揮されると考えられます。平成27年から日本でも始まった地理的表示保護制度を活用し、日本の農林水産物・食品が海外市場を開拓していくことが期待されています。
(調査情報部 国際調査グループ)