【alicセミナー】「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた持続可能な食材供給と国際水準GAPの推進について」
最終更新日:2017年7月5日
GAPとは、農業において、食品安全、環境保全、労働安全などの持続可能性を確保するための、関連する生産工程管理の取り組みのことをいいます。現在、GAPに取り組むこと(いつ、どのくらい農薬や肥料を使ったか、廃棄物を農場に放置していないか、堆肥置き場などでは専用の履物を準備しているか、など)、そして、その取り組みを第三者に客観的に認証してもらうこと(GAP認証)は、国際的な流れになっており、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会において選手村などで提供される食材についても、調達にはGAPへの取り組みを重視した“持続可能性”が求められるようになりました。そこで、現在GAPの推進に深く携わっておられる農林水産省農業環境対策課農業環境情報分析官 栗原 眞 氏を講師に迎え、オリンピック・パラリンピックにおける持続可能な食材供給と国際水準のGAPの推進をテーマとして、6月2日(金)にalicセミナーを開催しましたので、その概略を紹介します。
GAPの取り組みで経営改善効果
日本では、“国産神話”が浸透しており、これまで生産過程を示すということは考えませんでした。しかし、輸出入の機会の多いヨーロッパなど諸外国では、客観的な信頼性を証明するGAP認証の取得が一般的となっています。日本でも国内・海外資本問わず大手量販店では、プライベートブランドをGAPやHACCPの認証を受けている商品100%にするという取り組みが始められています。これまで当たり前と思い実施してきたことを、あえて項目立て実施することは、JAS規格やGIのように商品に付加価値が付くことではありません。しかし、GAPに取り組むことは、生産管理の向上、効率性の向上、生産者自身や従業員の経営意識の向上につながるといった効果があり、結果として農業人材の育成や日本農業の競争力強化にも有効と考えられるのです。
世界基準のGAPとしては、GLOBAL G.A.P.、日本版ではJGAPという認証があります。日本農畜産物の輸出も現実味を帯びてきた中、GAPへの取り組みが一般的な流れとなりつつあり、今後次第に流通先からこれらの認証を求められるようになります。認証を取得するのは、必要になってからでかまいません。まずは、国際水準のGAPに取り組むことが重要です。
オリンピック・パラリンピックを契機にGAP推進
オリンピック・パラリンピックでの食事の提供は、多くの要件を満たした内容の食事を膨大な量提供するという大事業です。また、そこではハラールやベジタリアン、アレルギーやドーピングなど1人1人の選手を第一に考えた食事を提供しなくてはなりません。当然、食品の安全衛生面の配慮も必要であり、提供される食材には、(1)JG A P Advance、G L O B A L G.A.P.の認証を受ける、もしくは(2)「農業生産工程管理(GAP)の共通基盤に関するガイドライン」に準拠したGAPに基づき生産され、都道府県など公的機関による第三者の確認を得ることが必要となりました。
この東京オリンピック・パラリンピック大会は、日本の食のすばらしさを世界に発信していくまたとない機会です。国は、大会での対応を契機として、2020年までにGAPへ取り組むという意識に生産現場が変わり、2020年以降はさらに高い水準として日本
の生産現場で国際水準に達するGAPの取り組みが浸透することを目指しています。
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