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【業務関連情報】日本の砂糖を支えるために

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最終更新日:2019年11月6日

はじめに

 2018年12月30日に環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)が発効したことに伴い、日本の砂糖を支える仕組みである糖価調整制度の対象に「輸入加糖調製品」が追加されました。
 そもそも、糖価調整制度とは、どのような制度でしょうか。
 砂糖の原料のうちさとうきびは、台風常襲(じょうしゅう)地帯である沖縄県や鹿児島県の南西諸島において、自然災害に強く、地域の経済・社会を支える他に代わるものがない重要な作物です。もう一つの原料であるてん菜は、日本の食料を支える北海道の畑作で重要となる輪作体系を維持するために欠かすことのできない作物です。これらを原料として製造される国内産糖(甘しゃ糖・てん菜糖)は、日本の食料自給に欠かせないものです。
 一方、国内産糖の価格と、輸入粗糖を原料として製造された砂糖の価格には大きな差があり、海外の安価な砂糖が日本に大量に流入すると、砂糖の安定供給に影響するおそれがあります。こうしたことから、砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律(糖価調整法)に基づき、輸入糖から調整金を徴収し、これを財源として生産者の原料生産コストと国内産糖製造事業者の製造コストのうち販売収入をもって賄えない部分に対して交付金を交付するというalicが行う価格調整を通じて、砂糖の安定供給が図られています。今回、この制度の対象に輸入加糖調製品が追加されたものです(図1)。
 

レポ1-1

輸入加糖調製品とは

レポ1-2

 「輸入加糖調製品」とは、輸入される「加糖調製品」ですが、これは「加糖」「調製品」に分解すると分かりやすいと思います。
「加糖」とは砂糖を加えたもの、「調製品」とは複数の原料を混合したものであることから、「加糖調製品」とは、砂糖以外の原料(ココア、乳製品、豆類、コーヒー、塩など)に砂糖を加えて混合したものです。
 輸入加糖調製品は、それ自体に多くの砂糖を含んでいることから、砂糖との競合性が高くなっています。
 また、輸入糖と比較してより安価に輸入できることから、平成2年の輸入自由化以降、輸入量は右肩上がりで推移しています(図2、図3)。
 

さとうきび・てん菜生産者などの経営安定のために

 TPP11協定において、輸入加糖調製品について、加盟国向けに新たに一定の関税割当枠(低関税又は無税)が設定される結果、より安価な輸入加糖調製品の輸入が増加することで、さらなる砂糖の需要減退や、輸入糖の減少に伴う調整金の減収により日本の砂糖の安定供給に支障を来たすことが懸念されました。
 このため、TPP11協定の発効に合わせて、輸入加糖調製品からも調整金を徴収(関税割当枠分を除く。)し、これを財源として国内産糖への支援に充当することなどを通じて制度の安定的な運営を図り、これによりさとうきび・てん菜の持続的な生産基盤を確保することを可能とするよう糖価調整法の改正が行われました。
 

熱帯種

おわりに

 輸入加糖調製品からの調整金の徴収が開始されてから、もうすぐ1年が経過します。関係者のご理解・ご協力に感謝申し上げるとともに、読者の皆様がチョコレートなどを口にされたときは、砂糖の制度のことを思い起こしていただけると幸いです。
  (特産調整部)
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196