【alicから】GAPに取り組む野菜生産者の紹介〜株式会社なんかいファーム〜
最終更新日:2020年5月13日
GAP とは、食品安全、環境保全、労働安全など農業における持続可能性を確保するための生産工程管理のことです。
具体的には、帳簿を作成し取組状況を記録する、整理整頓により危険物などの混入を防止する、働く人の安全な労働環境の確保を行うなど日常の作業一つずつをチェック項目に沿って進めていきます。
実際にGAP に取り組んだ生産者からは、「持続可能性が確保されることはもとより、物の紛失がなくなった、過剰な資材購入が抑制された、作業時における家族間の認識の統一に繋がったなど、生産管理・効率性の向上、経営意識の向上が図られた」といったメリットを挙げる声が聞かれます。
このページではGAPに取り組む野菜生産者、株式会社なんかいファームを紹介します。
なんかいファームの概要とGAP取得の経緯
なんかいファームは神奈川県足柄上(あしがらかみ)郡にある農業生産法人です。循環型社会のシステムを考える上で農産物の販売も担いたいという親会社(南海工業株式会社)の意向によって平成21年に設立され、工業部門で働いていた清水さんが運営を任されました。農業経験の全くない清水さんは設立当初を振り返り、形の整った「売れる野菜」を作ることに苦労されたと語ります。そんな時、農業機器メーカーから、パソコンによる栽培や販売の管理プログラムの導入を勧められました。それまで施肥(せひ)や畝間(うねま)の間隔など、感覚に頼って作業していましたが、統計分析に基づく栽培方法に移行した結果、失敗が減り、価格の良い秀品規格が多くできるようになりました。その後、同メーカーからJGAP 取得を勧められたことがきっかけで、2013年にJGAP を取得しました。
取得に際して清水さんが最も注力したのは、JGAP の規格が何を求めているかを理解することでした。「それさえできたら、後はノウハウだけの話。なぜそうするのか、なぜこのようにしなくてはならないのか。ここが理解できたらあとは問題なかった」と、目的意識を持って取り組まれた姿がうかがえます。
JGAPのメリット
JGAPを取得して最も変わったと感じるのは、安心して農業ができる点だそうです。「人が口にするものだからもしものことがあってはならない。安心、安全に農業ができることは生産者にとっても重要なこと」と清水さんは話されます。
また、親会社時代にISO認証の取得に携わった経験も役に立ちました。取得にかかる費用もこれで安心・安全が保証できるなら安いくらいだと感じています。また、認証取得後に定期的に行われる第三者機関の監査についても、「外部の人に現状を見てもらって指摘をしてもらうことで、継続的な改善が進み、無駄がなくなることは経営面からも重要」とその必要性を認めておられます。
今後の目標
清水さんは、JGAPがマニュアル化された生産管理による効率化や、安全、安心な農作業などを実現する手段として大変有効であることを実感していますが、さらに次世代育成にも活用できる手法とも捉えています。JGAPでは、労働環境や安全などについて労働者と意見交換をするなどのコミュニケーションの実施も求められています。「これからの時代、若い世代を育てていくには、JGAPのようなマニュアルがあることはとても助けになる」と話される清水さんは、2018年にJGAP指導員の認証も取得しました。
「今後5年で更に農業の腕を磨き、その後5年で後継者を育成、更にその後5年で地域活性化を担うような社会貢献ができる農業をする」という目標を掲げる清水さん。その言葉通り、将来、地元や若い世代をけん引する存在となってくださることを願っています。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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