1月24日(火)に開催した豪州食肉家畜生産者事業団(以下「MLA」という)との定期情報交換会議について報告します。
この会議は、日本とオーストラリアの牛肉の需給動向などについて意見交換を行う場として、1987年から定期的に開催しています。前回はコロナ禍のためオンライン形式での開催でしたが、28回目となる今回はオーストラリア・シドニーでの対面開催となりました。
会議では、MLAのジェイソン・ストロング代表取締役社長とalicの庄司副理事長のあいさつの後、双方からそれぞれの牛肉需給をめぐる情勢などについて説明し、その後予定時刻を超えて積極的な意見交換が行われました。
オーストラリアの需給動向に関するMLAからの説明概要は以下のとおりです。
会議の最後に、alicとMLAとの友好関係の促進と、定期情報交換会議の継続を改めて確認し合いました。次回は日本で開催予定です。
MLAからの主な説明概要 |
- 十分な降雨により牧草の生育環境が良好であったことなどを受けて同国では牛群再構築(注)が伸展し、2022年の肉牛飼養頭数は2,760万頭(前年比5.6%増)に増加。と畜頭数は牛群再構築に伴い減少(615万頭)したものの、十分な穀物飼料が確保できたことなどから1頭当たりの枝肉重量が増加(320kg/頭、2019年比37kg増)し、牛肉生産量は197万トン(同4.5%増)に増加。
- 牛肉輸出量について、2022年は牛群再構築で生産量が振るわなかったことなどから、2003年以来最低となった。そのような中にあっても日本は安定的かつ主要輸出相手国。なお、日本には主にグレインフェッド(穀物肥育牛)の牛肉が輸出されており、気候の影響をあまり受けずに安定的に輸出が可能。
- アメリカでは干ばつによる淘汰が進み、今後の牛肉輸出量は減少見込みであることから、牛群再構築が終わるまではオーストラリアの牛肉輸出は安泰と楽観視。
- MLAを含むオーストラリア赤身肉業界が独自に定めた2030年にカーボンニュートラルを実現するという目標「CN30」の達成に向け、同国の牛肉産業においては、アスパラゴプシス(牛からのメタンガス排出を抑制する藻の一種)の給餌実験や、低メタン排出肉牛の造成(遺伝子改良)、低メタン牧草の研究などが重要と認識。
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(注)オーストラリアでは近年、大規模な干ばつにより牧草が不足し、肉牛の飼養頭数が一時的に大きく落ち込んだが、2021年以降、多雨による良好な牧草の生育環境を受けて、肉牛の飼育頭数の増加(繁殖雌牛を保留し、子牛を生産することなどによる牛群の拡張)が進められている。
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA:Meat & Livestock Australia)
1998年に生産者の出資により設立(前身は豪州食肉畜産公社)。主な活動は、国内外におけるオーストラリア産牛肉および羊肉(生体を含む)の販売促進、研究・開発など。日本でも、「オージービーフ」の名称で、外食産業や小売店での販売促進、展示会やセミナーなどの活動を積極的に展開している。 |
(調査情報部)