【まめ知識】加工でん粉ってなに?〜食品に使う目的と用途〜
最終更新日:2024年2月5日
時間が経ってもサクサク感が続く揚げ物、プルプルで透明感のあるわらび餅、ジューシーな冷凍ハンバーグなど、スーパーやコンビニの総菜やレトルトなどの加工食品は、ここ数年でとても便利でおいしくなっています。これらの食品表示を見てみると、「加工でん粉(または、加工デンプン、加工澱粉)」の記載を目にすることが多いのではないでしょうか。今回は、この加工でん粉とはいったい何か、どのような目的で使用されているのか、ご紹介します。
1 加工でん粉ってなに?
加工でん粉とは、その名のとおりでん粉を加工したもので、原料は、ばれいしょ(じゃがいも)やトウモロコシなどからとれる天然でん粉です。加工の方法としては、(1)化学的な処理、(2)熱や圧力を加える物理的な処理、(3)酸や酵素での分解処理や、それらを組み合わせたものがあります。
加工でん粉の代表的な製造工程を簡略して示すと、右のようになります。加工でん粉は、求められる用途に応じて、原料の種類、加工方法、加工度合いを掛け合わせることにより、さまざまな特性を発揮することができます。
ここでは、食品衛生法で12種類が食品添加物として指定されている(1)の加工でん粉について、ご紹介します。
2 加工でん粉を使うとどうなるの?
加工でん粉を食品に添加するのはなぜでしょうか。
(1)食品の食感を持続・改善
天ぷらやフライなどを揚げてから時間が経つと、衣のサクサク感が失われます。これは、衣に使ったでん粉(小麦粉など)が、水分を含んで糊状となる「糊化」によって衣全体が一体化してしまうことが原因です。そこで天ぷら粉や唐揚げ粉に加工でん粉を添加すると、衣のでん粉の粒状が維持され、サクサク感を持続させることができます。
この他にも、クッキーのホロホロ感やパンのモチモチ感など多様な食感を作ることができます。
(2)食品の見た目を維持
わらび餅やトロっとした料理のあん、出来立てはつやがあり透明ですが、冷めると白く濁り、とろみが失われ水分が出てしまいます。そこで加工でん粉を添加することで、透明性を維持したり離水を防いだりすることができます。肉製品や卵製品などをしっとり仕上げるためにも用いられます。
(3)食品の品質を保持し、食品ロスを減らす
家庭で麺をゆでた場合、時間が経つとコシが失われ、冷蔵保存するとボソボソとした食感になることがあります。これは、でん粉が低温になると粘りがなくなり固くなる「老化」が原因です。しかし、コンビニなどで販売されている加工でん粉を添加したチルド麺は、冷蔵保管しても硬くならず、ツルっとコシのある食感が持続します。また、製造段階での廃棄ロスが出やすいロールケーキの生地割れを防ぎます。加工でん粉の添加によって品質が保持され、食品ロスの削減につながります。
今回ご紹介した目的や用途は一例で、この他にも加工でん粉は、さまざまな目的で加工食品に用いられ、私たちの豊かな食事を支えています。食料の安定供給や物流課題などへの対応も求められる中、今後の技術発展により、さらに便利で、おいしい食事が実現されるものと期待されます。
加工でん粉について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
・「加工でん粉の基礎知識」(『砂糖類・でん粉情報』2022年3月号)
・「加工でん粉の食品における役割」(『砂糖類・でん粉情報』2020年9月号)
(調査情報部)
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